宅配スタートアップのドアダッシュから考える、シェアリングエコノミーの未来

スマホやパソコンから簡単に食事のデリバリーを頼めるDoorDash。(公式サイトはこちら)

2013年、当時スタンフォード大の生徒だった四人の共同創立者が作ったサービスは瞬く間にキャンパスで人気となり、Y Combinatorを経てたった四年で全米300以上の都市に広がりました。2016年上旬には$127 million の投資を受けたとウォールストリートジャーナルが報道したことでも話題になりました。

私が現在住むパロアルトが発祥の地だけあって、街を歩いているとそこここのレストランに”DoorDashのメンバーです”と言うシールがドアに貼ってあるのを見かけます。この記事では、DoorDashの創業ストーリーやビジネスモデル、使ってみた体験談、そしてシェアリングエコノミーの未来についてちょっと考えてみたいと思います。

 

創業ストーリー

2012年のある日、中小企業のためのアプリを作ろうとしていた四人のスタンフォード生が、パロアルトでマカロン屋のマネージャーを務めるクロエさんと話し合いをしていました。議題は彼女がレストランで日々直面する問題の解決策。長いこと話し合いは続きましたが、結局彼らが当時作っていたアプリは彼女の問題を解決することはできず、四人はお店を出ようとしていました。

と、ちょうどその時、クロエさんが分厚いバインダーを取り出してこう言いました。「これ、全部デリバリーのオーダーの履歴なの。デリバリーしてくれる人がいないから私が一人で全部やってるけど、本当に嫌になっちゃう。」

これがきっかけで、四人はデリバリーこそが解決すべき問題ではないかと気づきました。そこから地域のレストラン200件を回ってインタビューした彼らは、皆が皆デリバリーを問題としていることに気づきました。と同時に、彼ら自身もパロアルトでの食事デリバリーのオプションが少ないことを不満に思っていました。

こうして生まれたのがDoorDashでした。

出典:https://blog.doordash.com/the-doordash-story-b370c2bb1e5f(ドアダッシュ公式ブログ)

こうして創業されたDoorDash。当初の数ヶ月、彼らがいかにビジネスを育てたかについては、創業者の一人 Stanley Tang氏(上の写真の向かって左)が Y Combinator の「スタートアップの始め方」の講演で自ら語っています。ログミーで日本語訳が読めるので、興味がある方はここからどうぞ。

ちなみにこのマカロン屋さん、まだあります。色合いが可愛らしくてどれも美味しいので、ダウンタウンパロアルトに訪れた際はぜひ。ユニヴァーシティー・アベニューを歩いていると発見できます。

ビジネスモデル

基本的な構成要素は、ユーザー、レストラン、そして配達者。
  1. ユーザーがアプリを使って食事を注文
  2. レストランが注文を受けて調理を始める
  3. 配達者がレストランからユーザーまで届ける
ユーザーは食事代に上乗せしてサービス料をDoorDashに払い、レストランもDoorDashに手数料を払い、その手数料の一部が配達者への賃金として支払われる、と言う仕組みのようです。

実際に配達者向けのランディングページを見ると、「今日から始めて即お金を稼ごう!」と言う心に訴えてくるキャッチコピーが書いてあります。レストラン向けのページには、「早くて一週間で、ドアダッシュを通じた注文を受けられます」と書いてあります。カスタマー向けの可愛らしいトップページと違って、ビジネスど真ん中の口説き文句ですね。

 

最新ニュース

DoorDashに関する最新ニュースは、ロボットを使ったデリバリーを始める、と言うもの。Starship Technologiesと言うロボットデリバリーの会社と提携して、2017年3月から6台のロボットによるデリバリーを開始したようです。

バズフィードのインタビュー記事によると、これで人間の配達者がいらなくなるというわけではなく、人間が避けがちな、短距離であまり時間がかからない簡単なデリバリーをロボットにやらせ、長距離で複雑なタスクに人間が集中できるようにする、というのが狙いのよう。

今はカリフォルニアのレッドウッドシティーのみのようですが、見かけたらここに写真を載せますね。

 

実際に使ってみた

という訳で色々書いてきましたが、私もDoorDashを何回か使ってます。なんと言っても便利です。

すでにユーザーの友人にリンクを送ってもらうと紹介割引で5ドルオフになるので、それとネットで検索したクーポンコードを合わせてさらに2ドルオフに。まずはユーザー登録をして、自分の住所を入れると、近所にあるデリバリー可能なレストラン一覧と、それぞれ何分くらいかかるかがさっと出てきます。ジャンル検索も可。

レストランを選んで、メニューをカゴに入れたら、あとは支払いを済ませて待つだけ!オーダー状況もチェックすることができるので、まだかなーと待つ時間もちょっと楽しかったり。

これまで計3回使いましたが、配達者の人たちは皆私服で、自分の車を使ってデリバリーしているようでした。皆フレンドリーですし、何より支払いがもう済んでいるので、ただ玄関先で食事を受け取るだけなのが楽です。

難をあげるとすれば、やっぱり割高になることですかね….便利なだけあって、サービス料が高いです。税金、DoorDashに払うサービス料、レストランに払うデリバリー料、配達者に払うチップまで含められるので、チェックアウトの時に「えええ?こんな高くなるの?」って毎回なリます。相当料金がかさむので、自分で車を持ってたら、直接行ってテイクアウトをした方が安いと思います。

までも、直接行くのがめんどくさい時のためのお助けサービスなので、どうしても家から出られない、とか、夜11時で近所にコンビニなんてないけどどうしてもバニラアイスが食べたい、とかいう時にはとても便利です。あとはクーポンを駆使!ですね。たまに配達料無料のセールをしてたりするので、賢く使うのが吉かと思います。サービス自体は非常にスムースで、サイトの使い心地も良いです。

 

シェアリングエコノミーの将来

「シェアリング・エコノミー」とは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。貸し借りが成立するためには信頼関係の担保が必要であるが、そのためにソーシャルメディアの特性である情報交換に基づく緩やかなコミュニティの機能を活用することができる。シェアリング・エコノミーはシリコンバレーを起点にグローバルに成長してきた。
PwCによると、2013年に約150億ドルの市場規模が2025年には約3,350億ドル規模に成長する見込みである。

簡単に言い換えると、「時間はあるけどお金がない」人が、「時間はないけどお金はある」人のためにサービスを提供する仕組み、みたいな感じでしょうか。DoorDashもUberも、配達者や運転者の時間をお金に換えたサービスといえると思います。

これまでのトレンドを見る限り、まだまだ成長しそうな感じです。アメリカ版のメルカリや、似たサービスのOfferUpも好調です。

ただ、AirBnBやUberが最初に出てきた頃とは違って、業界全体としてはニッチの奪い取りやシステムの整備に少しずつ移行しているような感じはします。DoorDashのような食事宅配サービスだけでも、DoorDash, UberEats, GrubHub, Eat24, Postmates, Instacartなどたくさん似たようなサービスがあり、どの会社も生き残りに必死です。

イケダハヤト氏がブログに書いているように、ここまで来たシェアリングエコノミーの次のポイントは、時間をお金に変えるだけでなくて、いかにシェア自体に価値を生み出すか、ということになってくると思います。

例えば AirBnB は昔からホストとユーザーの繋がりを強調していますが、さらに最近追加した「体験」パッケージ(宿ではなく、地域のツアーや地元民が知る場所に連れて行ってもらえる、などの体験の購入)はそう言う方面に一歩踏み出し始めているんじゃないでしょうか。

わざわざレストランに電話をかけて人と話さなくていい、と言うところが人気の一因のデリバリーサービスですが、いかに全てをネット上にのせて便利にできるかには限りがあるような気がします。

「何もかもをオートメートして便利にする」流れの一方で、人と繋がることがこんなに簡単になったからこそ、「新しく生まれる繋がりに価値を付加する」動きが出てきてもいいんじゃないかと思います。両方の流れがどう発展して行くか、楽しみなところです。

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